日本のブラジル農業へのかかわり方

新興市場は、引き続き、手掛かり材料に乏しいものの、主力株を中心に底堅い展開となりそうだ。昨日は日経平均が小幅安に留まったのに対し、マザーズ指数は約2%の上昇となるなど、個人投資家の中小型株に対する物色意欲の強さが支援材料となるだろう。

今こそ大農業・工業国のブラジルに深い関係を築くとき

ブラジルは現在GDO世界第7位、豊富な資源と2億人の巨大な国内市場を持ち、2020年には経済規模で世界5〜6位が見込まれている。また日本の23倍という広大な国土には、寒冷地、山岳地帯、砂漠などなく地震や台風などもない。農業には現在、まだ国土の7.3%しか使っておらず、地球上の真水の20%を保有するため、アグロインダストリー(農業および、農業関連産業)のポテンシャルは他に類を見ない。

 

今後の世界の食料争奪戦のなかで、切り札を握るのはブラジルだ。大震災を経験した日本は、今こそ、ブラジルに日本技術をベースとした確固としたビジネスの土台を構築しておくべきだ。そうすれば、今回の大災害のみならず、いざという時にもブラジルはあらゆる面で、日本に対する大きな補完的役割を果たしてくれることになるだろう。

 

日本からの移民による農業技術指導や、1970年代からのセラード農業開発プロジェクトを通して、日本はブラジルのアグロインダストリーに技術的・資金的協力を行っていた。とくに、セラード農業開発プロジェクトは、ブラジル中央部の何も農産物が収穫できなかった低直木地帯を、土地改良と大規模濯漑により世界の大豆生産の10%がとれる大農業地帯にするなど、ブラジルの農業開発に多大の貢献をしてきた。

 

しかし、セラード農業開発プロジェクト終了に伴い、ブラジルアグロインダストリーヘの日本の技術的、資金的協力は終了した。その後、世界的な食料危機に伴い、中国はブラジルから大量の大豆の買い付けのみならず、ブラジル国内に土地を取得して大豆を生産し、中国へ持っていくプロジェクトを進め始めている。韓国も自国民への食料確保先の1つとして、ブラジルを位置づけている。

 

食料自給率40%の日本にとって、食料供給安全保障のカギとしてブラジルを見直し、継続的な技術的・資金的協力が急務と言える。

日本の技術に対する評価は高い

農業のみならず、ブラジルは製鉄、自動車および同部品、石油化学、造船、電気電子、食品、繊維、製靴、など極めて多業種を抱えており、ほとんどの物を国産で造れる中南米一の工業国だ。しかし、航空機製造、深海油田開発、バイオエタノール化学、大型土木建設技術などの一部の部門では、世界一流の技術を持っているものの、全般的にはいまだ最先端技術を含め相当の技術導入が必要で、ここにブラジル工業の今後がかかっている。

 

これは3・11後の日本にとってチャンスだ。日本の生産技術に対するブラジル側の評価はきわめて高い。しかも日本と日本人に対する信頼は他国では見られないほど厚い。日本が今後一段と積極的にブラジルに投資し、技術を投入することは、ブラジル工業の技術水準と生産性を飛躍的に引き上げることになり、ブラジル側も大歓迎するだろう。また、日本のプレゼンスにも大きくプラスする。積極的な投資と技術投人は、ブラジルに日系企業の大規模な現地法人群と技術の集積基地形成の大きな足掛かりとなる。日本からは地球の反対側にあるが、逆にブラジルからは日本から遠い南米やアフリカのビジネスをカバーできる。

 

たとえば、05年にブラジルが採用を決めた地上デジタルテレビは、米国方式、欧州方式ではなく日本方式であり、日本にとって最初の世界進出となった。この方式をブラジルは途上国向けに操作を簡単にした日伯共同方式に再開発した。その後、中南米の主要国は次々に日伯共同方式の地上デジタルテレビを採用、今やアフリカ諸国にまで波及しようとしている。これは今後のブラジルとの付き合い方を考える上で好事例だ。また、15年ごろから本格化する超深海油田の石油や天然ガス生産も、日本の積極的なアプローチがあれば、日本への供給の道が開けてくるかもしれない。