日本のインドへのサプライムチェーン拡大の考察

新興市場は、引き続き、手掛かり材料に乏しいものの、主力株を中心に底堅い展開となりそうだ。昨日は日経平均が小幅安に留まったのに対し、マザーズ指数は約2%の上昇となるなど、個人投資家の中小型株に対する物色意欲の強さが支援材料となるだろう。

日本のインドへのサプライムチェーン拡大の考察

毎年約2000万人以上人口が増え、2025年には中国を抜き、世界一の巨大マーケットが期待されるインド。人的資源の豊かさのみならず、世界各国で活躍する流出頭脳のインド回帰が今後のインド経済を支え、民衆の世界水準も向上しよう。しかし、総人口の約半分を25歳以下が占める現状を考えると、それらの若者への就労機会創出のために一層の経済拡大を志向し、雇用の拡大を図ることがインドが直面している喫緊の課題となる。

 

インドのGDP構成比を見ると、概算で農業などの第1次産業や製造業などの第2次産業がそれぞれ2割、ITなどのサービス産業(第3次産業)が6割を占める。しかし労
働人口比でみると、第1次産業に6割もの労働人口が集中している。第3次産業に従事するためには高等教育が必要であり、毎年それら産業に直接雇用されるのは、せいぜい20万〜30万人でしかない。つまり、初等、中等教育の普及がおざなりになっているインドでは、限られた高学歴者等への富の偏在が生じ、拡大しているのである。

 

シン首相の掲げる貧困撲滅を推進するためには、非効率な農業の改革が急務だが、そのためには大規模な濯漑施設の拡充や効率化が必要になり、そうなると農業からはじき出される労働者が生まれる。したがって、初等教育も受けていない労働者でも雇用可能な製造業の拡大が必須とな

韓国は非常に積極的

現在、インドには国際企業が大挙して押し寄せており、インドを起点にしたグローバルビジネスの展開が極めて活発である。たとえば、韓国は昨年のインド共和国記念日の主賓として李明博大統領が訪印した際、財界首脳らが大挙同行する姿が見られたが、そこには印韓EPA(経済連携協定)を最大限自社ビジネスに取り込もうとするしたたかな韓国企業の姿が垣間見られた。既にインドで確固たる地位を、獲得しているサムスン電子をはじめ、現代自動車やLG電子など、韓国を代表する企業がさらなる拡大を目指し切磋琢磨している。

 

日本企業はといえば、最近になりインド進出も活発化しつつあるが、今年2月にインドと署名を交わしたCEPA(包括的経済連携協定)の国会批准が遅れており、発効時期の見通しが付かず、日本企業が韓国企業の後塵を拝する結果となっている。

 

今回の大震災を経て見えてきた日本の課題は、地震や津波などの天災により国内製造業基盤がダメージを受けてしまった場合でも、相互補完できるようなサプライチェーンを国外、とりわけアジア地域に形成させていくことと言えるだろう。その際重要性を増しつつあるのが、中国に伍して経済成長を続けるインドということになる。

 

具体的な例を挙げれば、被災した失業者への雇用機会を日本国内に限定せず、インドが必要とする日本人技術者を国庫負担にて期間限定で派遣し、インド製造業のレベルアップに貢献してもらう。日本の緊急課題の被災者雇用問題解消の一助にするとともに、インドの第2次産業の発展拡大に寄与してもらい、インドのさらなる経済成長を呼び込む。そうした貢献の成果を、インドに進出した日系企業への優先サポートとして反映させ、アジア経済圏での日本企業の優位性を高め、そこで生まれる利益を日本に持ち帰る。これを称して、未来吸引型、ビジネス的ブーメラン効果と名付けたい。

 

こういったことを手始めに、環境問題をも踏まえた、インドの社会インフラ整備に対しても世界最先端を行く日本の技術をインドで生かし、利益を創造し、分け今つことが欠かせない。より拡大が見込めるインドマーケット市場への日系企業進出と日本の技術支援は、震災後の短期的な経済の下支えのみならず、長期的に日本経済を支えてくれる選択肢のひとつと言えよう。