震災後のロシアの日本へのエネルギー支援

新興市場は、引き続き、手掛かり材料に乏しいものの、主力株を中心に底堅い展開となりそうだ。昨日は日経平均が小幅安に留まったのに対し、マザーズ指数は約2%の上昇となるなど、個人投資家の中小型株に対する物色意欲の強さが支援材料となるだろう。

震災後のロシアの日本へのエネルギー支援提案の背景

震災の後、ロシアのセーチン大副首相(エネルギー担当)は、駐露日本大使を通じて日本に対し、エネルギー分野で戦略的パートナーになる旨の提案をした。 短期的には、サハリン産天然ガス(LNG)の追加供給や、日本への原油供給を2010年の910万トンから1800万トンに倍増を明かした。長期的には、ロシア最大の国営エネルギー会社ガスプロムが主導する、イルクーツク州にあるコヴィクタ(天然ガス埋蔵量2兆立方び)やチャヤンダ(同1.3兆立方メートル)のガス鉱区開発への日本の参加を求めたほか、天然ガスをLNG化する工場をウラジオストクに建設する計画に参加するよう促した。これには伊藤忠商事などが参画する。

 

また、ガスプロムが開発権をもつサハリン3プロジェクト(石油埋蔵量7億トン、天然ガス埋蔵量1.3兆立方メートル)の開発ピッチを速め、日本企業を含む海外企業の参加を認める方向で検討が進んでいることも明らかになった。さらに、日本が火力発電への依存を強めるとの見方から、サハリンープロジェクトの天然ガス(埋蔵量4850億立方メートル)を採掘し、LNG化して日本、中国、インドに輸出する案も浮上している。その際、新しくLNG工場を設営する案、サハリン2のLNG工場を増強する案が検討されている。

日本側の長期戦略不足

これに対して、日本側の対応は鈍い。06年の「新・国家エネルギー戦略」では、戦略を構成する具体的な8つのプログラムのなかに原子力立国計画を含んでいたが、3.11を経てこの計画はもはや意義を失った。プログラムの共通課題として「強い企業の形成促進」を第1に掲げ、「政府は、資源確保の局面において海外の企業と伍していける中核的企業の形成促進、原子力発電の推進を含めた中長期的な投資を担えるエネルギー企業の形成促進」とい弓内容を謳っていたが、それは絵に描いた餅にすぎない。

 

そもそも、この戦略自体、欧米のエネルギー再編の動きに比べて、10年以上遅れた計画であった。日本よりもずっと遅れていたはずのロシアと比べても、エネルギー部門の改革は日本のほうが遅れている。政治的にも、対露中長期的戦略を構想している責任者は見当たらない。つまり、日本は経済的にも政治的にも、ロシアの提案に対応できていないのが現状だ。

 

一方、ロシア経済発展省は4月、エネルギー関連の予測を変更した。原油価格の年平均価格を当初計画の1バレル=81ドルから105ドルとし、欧州向けのガス輸出価格は、1000立方メートル当たり382.5ドルまで引き上げられた。これは、原油や天然ガスの輸出税の増加につながり、財政赤字の圧縮につながる。半面、予測インフレ率が当初の6〜7%から7〜7.5%に引き上げられたので、GDPは4.2%に据え置かれた。結果、原油やガスの価格上昇はロシア経済の安定感をさらに高めた。

 

しかし、余裕棹々のロシアにも問題がないわけではない。資源輸出で潤うはずの国内で富の再配分がなされず、資本流出によって思うように投資増加につながらないのみならず、プーチン首相の事実上のガスプロム支配にみられるように、政治家が国内の主要産業を企業家と結託して牛耳る体制が続いており、それが腐敗の蔓延という事態を引き起こしている。こうした状況を知る外国人投資家はロシアへの投資に慎重になっており、ロシア経済を考えるうえで忘れてはならない負の遺産だと言えるだろう。